被せ物



一般に言う被せ物は、

歯科用語では補綴(ほてつ)と言います。

補綴とは、歯が無くなった部分 や 

虫歯になってしまった部分などに

人工的な歯 や 歯の一部分を

入れることを言います。

入れ歯、歯の被せ物、歯の詰め物などが

これに相当します。

補綴物には、

取り外しタイプの物

固定式の物 の 2種類が、

大きく分けてあります。

ここでは、

後者の固定式の物のお話をさせていただきます。



保険の適応でできるもの、

保険の適応でできないものがあり、


それぞれに、長所短所があります。

当院で用意したサンプル模型の画像を

用いて説明したいと思います。

補綴物には、歯科医や歯科技工士でも

すべて把握できないほど

たくさんの種類があります。

その中で需要の高いものを選んで

ご説明させていただきます。













まずは、ここ数年で保険適応が可能になった、

CADCAM冠です。

すべての歯に対応できる訳ではなく、

前から4番目、5番目の歯に限定ですが、

健康保険の適応です。

今までは、4番目、5番目の小臼歯は

保険での治療は、

12%金パラという金属(いわゆる銀歯)か、

もしくはジャケット冠という

歯科用プラスチックの被せでした。

ジャケット冠は銀歯ではなく、

白い歯ではありますが、

強度があまりにも弱いために、

割れる可能性が著しく高いために、

多くの歯科医師は敬遠していたと思います。


このCADCAM冠は、

保険適応外のセラミックには、

透明感や質感は劣りますが、

小臼歯に保険適応でできることを考えると、

十分なコストパフォーマンスだと思います。

適応症例などに関しては、

歯科医師にご相談下さい。

もちろん、当医院でも治療対応可能です。








次に保険適応の被せ物と

保険適応外の被せ物

について説明したいと思います。








前歯と奥歯(臼歯)に分けて

説明させていただきますので、

まずは、前歯から、お話させて頂きます。

上の画像では少しわかりにくいので、


E F G の補綴物のみを


撮影した画像をご覧ください。








それぞれの名称をまず説明させていただくと、

E硬質レジン前装冠  健康保険適応

Fメタルボンド    保険適応外

Gオールセラミック  保険適応外


要点だけ説明させていただくと、

E と F、G の差は

透明感です。

天然の歯は、白いだけでなく、

自然光を通す透明感が最大の特徴です。


Eの硬質レジン前装冠は金属の上に、

硬度な歯科用プラスチックを

付けたもののため透明感を出すことができません。


Fのメタルボンドは、

金属の上にポーセレン(セラミック、陶器)を

焼き付けたもので、

歯の先部分(切端と呼んでます)を

天然歯に近い透明感を出して

仕上げることができます。


Gのオールセラミックは金属を使わずに、

ポーセレンのみで作った人工歯なので、

歯全体に透明感を出すことが可能です。


Eの場合、内部に使う金属は

12%金パラという金属に決まっていますが、

Fの場合は内部の金属によって

その性状は若干異なります。


E と F、G のその他の差は、

汚れの付着のし易さにあります。

食器などで考えていただければ

わかると思いますが、

プラスチック と 陶器 

どちらが汚れが付くかは一目瞭然です。


その差は圧倒的です。

これより詳しい、説明は直接、お尋ね下さい。

詳しくご説明させていただきます。






次に、奥歯(臼歯)について

ご説明させていただきます。







Cは全部を被った形で、

一般的にクラウン

歯科用語ではFMCと呼ばれています。


@、A、Bは歯を全部被った形ではなく、

歯の内部のみを修復した形状です。

100%ではないですが、

一般論として、@、A、Bは

神経のある(神経が生きている)歯に

用いることが多い治療法です。


@、A、B の方法を歯科では、

インレーと呼んでいます。

英語の表記では、inlay となります。

in(前置詞) と lay(他動詞、横たえる) と

考えると理解しやすいです。

ちなみに予断ですが、


lie(自動詞)の過去形layとは違います。


そして、このインレーですが、

@ が保険適応で 材質は、12%金パラ

A は、ゴールドインレー 保険適応外 です。

いわゆる金歯です。

金歯は、金が高価だから高級って

イメージがあるかもしれませんが、

歯科で金歯が重宝されるのは、

金が金持ちのイメージだからではありません。

みなさんも、高校の化学で

イオン化傾向や金属の展性について

習ったことがあると思います。

金(Au)は最も溶解しにく金属で、

尚且つ最も伸びる金属です。

それが歯科でどう作用するかと言うと、

●イオン化しないため

  アレルギー反応が最も出にくい


●溶解しないため、歯肉に金属色の着色が起きない


●展性に優れているため、適合性が最高である。

他にも金には利点ばかりです。



そして最後に

Bのハイブリッドのインレー 保険適応外

セラミックの歯は、

すべてを被うタイプの補綴物には優れていますが、

このインレータイプの場合、

セラミックはとても優れているとは言えない為、

一般的には、ハイブリッドタイプを

用いることが多いです。

ハイブリッドと聞くと

自動車を思い出すかもしれませんが、

ハイブリッドとは、2つの物の複合体と言う意味で、

自動車には関係ありません。

自動車の場合は、ガソリンと電気の複合体って

意味でハイブリッドと呼んでいます。

歯科の場合も、二つの性質のものの複合体で

ハイブリッドと呼んでいます。

プラスチックとセラミックの両方の性質を

持っていると考えてもらえれば

理解しやすいと思います。


インレータイプの場合、

見た目の「白さ」ってことを除けば、

私個人の意見では、圧倒的に、

ゴールドインレーが優れていると思います。

C、D のクラウン、FMCに関しては、

上記の前歯、インレーの説明を

参考にしていただければ、

ほぼ同じ感じです。

これ以上の性質などのご質問は

直接していただければ、

丁寧に回答させていただきます。